夜、1階の階段のところに大きなバッタがいた。
よく飛び跳ねていたが、人に踏まれたらひとたまりもないだろうと思った。
そこで、例の草むらへ、バッタを逃がそうと決めた。
手で掴もうとするが、なかなか掴めない。
バッタはぴょんぴょん跳ねる。
何度かやっているうちに、少しおとなしくなってきた。
僕は幼児のような心でと心の中で唱えた。
そのうち、壁際に追い込んで、やっと胴体の部分を掴むことができた。
そして草むらの中へと連れていった。
実はもう1匹、小さいバッタがいた。
このバッタは、僕のジーパンにくっついてきたから、
ちょうどいいやと思って、そのまま草むらの方へ歩いて行こうとした。
すると、少し歩いたところで飛び跳ねていなくなってしまった。
夜だから、あたりは暗い。
へたに動くと踏んでしまうと思ったので、捜索は明日だなと思い、
自分の部屋へ引き返した。
もちろん明日、あのバッタに出会うのかどうか、明日まで無事でいてくれるのかどうか
わからない。