セミが本格的に鳴いていた。
家への帰り道、その声がひときわ大きく聞こえる地点があった。
しばらくそこにいて、声をきいてた。
ふとセミの抜け殻が目についた。
成虫を探したが、姿は確認できなかった。
セミの声に包まれてしばらく立っていた。
贅沢な時間だったと思う。
そしてまたしても帰り道、周りに木のないところでセミの声がした。
見ると駐車場に立つ鉄塔に1匹のセミがいた。
そして住んでいるアパートの壁にもまた、1匹のセミがいた。
夜にはその声は止んでいた。
鳴く時間帯にも法則があるらしい。
その後の日常生活の中でふと、ゆっくりでもいいから、
動いてみよう、そんな思いが浮かんだ。